3.12 初夏の伊豆・旧天城峠越え
    −−踊り子歩道を歩く−−


1.日 時 :2010年6月9日〜10日

2.概 要

今回昔の同僚とまだ新緑濃い伊豆・天城峠周辺を歩きました。天城峠は川端康成の小説「伊豆の踊子」や石川さゆりのヒット曲「天城越え」などの舞台になって有名ですが、いつも国道414号線の新天城トンネルを車で通ってしまい、じっくり歩いたことがありません。そこで今回は小説「伊豆の踊子」で主人公の一高生の{私」がたどった旧天城山隧道から湯ヶ野温泉までの道を歩いてみました。この行程は、踊り子歩道としてよく整備されており、歩道沿いには河津の渓谷があり、ワサビ田や滝(だる)が数多くある快適な歩道です。そして今回の文学散歩の締めくくりとして、宿を踊り子の舞台となった「福田家」旅館に泊まり、一時の踊り子の世界を味わいました。



  *下にスクロールすると写真がご覧になれます

(1)踊り子歩道を歩く

写真1:     今回の「踊り子歩道」の出発点(水生地下)
国道414号線「水生地下」BSより左側が「踊り子歩道」で、旧天城峠へ通ずる
写真2 :     踊り子歩道の案内板
ここは、天城峠−−八丁池−−万三郎岳など天城縦走コースの出発点でもある
写真3 : 旧天城峠へのつづら折りの緩やかな歩道
初夏の新緑が鮮やかである
写真4 :   途中にある川端康成の「伊豆の踊子」の文学碑
ちょうど「伊豆の踊子」の書き出し「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、・・・・・・」 の場所に文学碑が設置されており、小説の”私”の世界に迷い込んだ気持ちになる
写真5 : やがて緑の中に旧「天城山隧道」が現れる
写真6 : 「天城山隧道」は国の重要文化財に指定されている
写真7 : 「天城山隧道」説明図
明治38年開通、工法は大仁町の吉田石を積み上げて造る「切り石巻工法」、長さ:446m、幅3.50m、高さ:3.50m
写真8 : 天城山隧道入り口(修善寺側)
トンネルの入り口に子供を抱いた着物姿の女性が立っており、一瞬驚きました
昔はこの手前に峠の茶屋がありました。現在はその面影はなく小さな休憩所があります
写真9 : 薄明かりのトンネル内部
昔は照明がなく、峠の茶屋で提灯を貸しだしていた。 「伊豆の踊子」の一節にある 「暗いトンネルに入ると冷たい雫がぽたぽた落ちていた。南伊豆への出口が前方に小さく明るんでいた。」 の情景は今も変わらず味わうことが出来ます。
写真10 :   明るいトンネル東側出口
写真11 : トンネル出口から観る南伊豆の山々
写真11 :   寒天橋分岐
トンネルからつづら折りの道を下ると、やがて寒天橋分岐に至ります。左に行くと天然記念物「モリアオガエル」が生息する八丁池へ行けます。
小説では、このあたりの道で、一高生の{私」が踊り子一行に追いつき、ドラマが展開しています。
また、石川さゆりのヒット曲「天城越え」の歌詞にある「・・・、ワサビ沢隠れ道、小夜時雨寒天橋、恨んでも恨んでも・・・」の寒天橋です。
写真12 :   二階滝
寒天橋から少し下ると新緑の中に大きな滝が現れる。  河津川源流の第1番目の滝(だる)で八丁池を源としています。
幅6m、高さ20mを二段に落ちている名瀑です。夏は新緑、秋は紅葉に囲まれ冬季の厳寒期には一条のつららとなります。
写真13 : 二階滝(滝口)
写真14 : 踊り子歩道沿いの渓流
国道414号を通り抜け、渓谷沿いの歩道を歩く
写真15 : ワサビ田
渓流沿いには点々とワサビ田がある
写真16 : 平滑の滝
ワサビ田脇にある平滑の滝は清流のためか特に綺麗な滝(だる)である幅21m、高さ4mの一枚岩上を流れ落ちている。
写真17 : 宗太郎杉並木を通る踊り子歩道
明治10年に植林された杉並木で見事な大木である
写真18 : 河津七滝の一つ「エビ滝」
写真18 : 河津七滝の一つ「蛇滝」
写真19 : 河津七滝の一つ「初景滝」
踊り子歩道沿いにはあちこちに踊り子の像がある
写真20 : 河津七滝の一つ「出合滝」
写真21 : 出合滝河口
写真22 : 河津七滝の最後の滝「大滝」
写真23 : 大滝の滝口
豪快な滝である

(2) 湯ヶ野温泉「福田家」に泊まる
踊り子歩道を歩き終わり、湯ヶ野温泉の福田家に泊まりました。福田家は小説「伊豆の踊り子」の中で一高生の”私”が泊まった温泉宿です。川端康成が「踊り子」を執筆し、その後も何回となく訪れております。その泊まった部屋が当時のまま残されており、今回この部屋に泊まることが出来ました。
当時と変わらぬ河津川のせせらぎの音を聞きながら一時「踊り子」の世界を味わうことが出来ました。



写真24 : 小説「伊豆の踊子」の舞台となった湯ヶ野「福田家旅館」
写真25 : 川端康成が宿泊した部屋
当時のまま残され、使用されている
写真26 : 部屋にある川端康成自筆の色紙(1)
写真27 : 部屋にある川端康成自筆の色紙(2)
写真28 : 太宰治が使用した部屋
写真29 : 太宰治が使用した部屋
暗い感じの部屋である
写真30 : 福田家旅館の対岸の家並み
小説「伊豆の踊子」の核心に出てくる、踊り子が真裸で手を振る対岸の共同風呂、この面影は残念ながら残っていない、


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