5.6 陶芸作品群6


(1) 概要
陶芸を始めてから早いもので3年半になります。少しずつ自分なりの物も作れるようになりましたが、その反面作品としてみるとまだまだ未熟でその難しさを改めて感じております。慣れたため少し安易に作っており、そのため壁に突き当たっているようでもう一歩脱皮しなければと反省しております。そろそろ自分なりの型のある作陶をしなければと思っております。
今回の作品は、新たな土、釉薬を使用した「大皿、中鉢、ぐい呑み、抹茶茶碗」、また新たな技法習得のため「波形タタラ皿、タタラ貼り付け壺」などを制作しました。出来映えを自己採点すると、満足できる物、出来ないものいろいろですが今後の記録のため以下にまとめました。





    * 下にスクロールすると写真がご覧になれます


              右写真: 寅年にちなんで余った土で作ってみました
                  虎に見えますか?




作品番号
名 称
58.青磁呉須紅葉葉吹き墨大皿
製 法 ・土:赤土
・紐積み上げ方式
・下絵:呉須紅葉葉吹き墨
 外縁に紅柄線引き
・釉薬:青磁釉ずぶ掛け
・還元焼成
コメント ・直径29cmの大皿、
・複数枚のモミジ葉吹き墨に挑戦
・外苑部の紅柄線引きは十分発色してない
濃度不足
同 上
・製作意図として外縁部に紅柄線引きを入れたが発色不足になった。そのためやや周囲がアクセント不足になった。
・吹き墨はほぼ形状・濃度等予定通り表現された。
作品番号
名 称
59.黒天目線描中皿
製 法 ・土:赤土
・紐積み上げ方式
・線描:撥水剤筆塗布
・釉薬:イラボ釉ずぶ掛け後、撥水剤線描、黒天目釉ずぶ掛け
・酸化焼成
コメント ・直径24cmの中皿
・黒天目の黒の中にイラボ釉の茶線を自然体で描き浮かび出させた
同 上
製作意図は出せた。
今後いっちん描きのようにもっと大胆な線描をこの方法でトライしてみたい。

作品番号
名 称
60.青磁呉須染め付けタタラ貼り付け壺
製 法 ・土:信楽白
・ボウル容器を使いタタラ貼り合わせ方式
・下絵:刻印後呉須スポンジ塗布
・釉薬:青磁釉薬ズブ掛け
・還元焼成
コメント ・造形作品
・何が出来るか分からない面白さはある
作品番号
名 称
61.青磁呉須文様タタラ皿
製 法 ・土:信楽白
・タタラ作り
・下絵:呉須モミジ葉吹き墨と呉須山文様、一部刻印
・釉薬:青磁ズブ掛け
・還元焼成
コメント ・山の情景を表現した
・タタラ皿は手軽に作れるメリットがある
作品番号
名 称
62.志野魯山人風タタラ皿
製 法 ・土:織部風混ぜ土(五斗薪7+赤土3)
・タタラ作り、石で打刻
・下絵:オニイタ筆塗り後、絵柄(花、山容)に掻き落とす
・釉薬:紅志野
・還元焼成
コメント ・魯山人の作品は、繊細さは無く、大胆な大雑把な作品が多いが、その中に彼らしい作風が漂っている。
特に志野の作品は私の好きな一つである。
・今回その志野風皿に挑戦してみましたが掻き落としの絵柄がよく出なかった。
作品番号
名 称
63.青磁モミジ葉吹き墨中鉢
製 法 ・土:伊賀土
・紐積み上げ方式
・下絵:呉須モミジ葉吹き墨
・釉薬:青磁ズブ掛け
・還元焼成
コメント ・経20cmの中鉢
・口元に緊張感のある、均整のとれた形状を心がけた
・伊賀土独特の御本(手)(ほんのりした赤味の色付け)が内外の壁に現れ、独特の雰囲気を醸し出す作品になった。モミジ葉はアクセントに加えた。
同 上
・御本(手)とモミジ葉がよく調和しているように思う。
・御本:胎土に含まれる鉄分が焼成時に窯変し赤い斑点が現れることを言う。
作品番号
名 称
64.備前風酒器
製 法 ・土:備前風(黒陶3+唐津7)
・玉つくり手び練り技法
・下絵:火色釉と松灰を部分吹きつけ
釉薬:なし
・還元焼成
コメント ・抹茶茶碗のように均整のとれた形状を目指した。
・備前は本来は焼き締めであり釉薬を使わないが、電気窯であるため補助的に釉薬を使用し灰かぶり風とした
同 上
・形状をあれこれ考えながら作ったため三体がそれぞれ異なっている。
・吹きつけした火色釉と松灰の斑点がやや多く出てしまった。

作品番号
名 称
65.織部抹茶茶碗
製 法 ・土:黒陶土
・玉作り手び練り
・下絵:なし
・釉薬:織部釉
・酸化焼成
コメント ・黒陶土と織部釉を組み合わせて深みのある発色をねらった
・形状は半筒型茶碗とした
同 上
・高台部
作品番号
名 称
66.井戸茶碗
製 法 ・土:赤土+信楽荒土
・紐積み上げ方式
・下絵:なし
・釉薬:白化粧、土灰釉(内側と外側上部)、カイラギ(外側下部)
・還元焼成
コメント ・高麗茶碗の一種、高い高台と高台周りの釉薬のちじれ、深い形状が特徴、
・朝鮮で日常の雑器として使われていたのでその無造作な雄大な雰囲気と自然な崩れが日本では評価され、室町時代から人気があった。
・実際に作陶するとその雰囲気を出すことが難しい。
作品番号
名 称
67.タタラ作りビアカップ
製 法 ・土:赤土
・タタラ円錐状巻き貼り付け
・下絵:線刻、白マット転写
・釉薬:黒マットズブ掛け
・還元焼成
コメント ・白マット転写部が薄く、十分な模様が現れていない。
作品番号
名 称
68.織部波形タタラ皿
製 法 ・土:信楽白
・楕円ワイヤー切断による波形タタラ
・下絵なし
・釉薬:黄伊羅保と織部
・酸化焼成
コメント ・波形タタラ版をベースとするのが特徴、
・やや意図したものより波形状が粗くなってしまった。切断ワイヤー系を変え、再度製作したい
同 上
・黄伊羅保釉と織部釉の持つ微妙な色合いをねらって作った。



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