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5.10  陶芸作品群11

1.概要
 2012年11月から2013年8月に作陶した作品群です。引き続き今年は陶芸の作陶過程で偶然の産物として現れる窯変の景色に注目した作品作りと、私の作陶のライフワークである青磁の器の検討を行いました。今回取り上げた備前、萩、青磁の窯変で現れる地肌の色合いはそれぞれ特徴があり、なかなか予知できない表色となり興味深いものです。今回は備前と紫香楽(信楽)の炭化還元焼成による窯変と、成分を変えた青磁釉薬の表色変化に挑戦してみました。これらのメカニズムはある程度化学的な解析でその表色現象をシュミレート出来る気がしますが、しかしファクターが多く最後は出来上がってみないと分からない意外性が残り、これが逆に奥深い魅力かと思います。 もともと日本の先人は陶芸作品に対して寛容な美意識を持っており、作成中、焼成中、使用中の変化の中に美を見いだし、それを作品の景色として価値を見いだしておりました。この美意識は完全な製品を重んじる外国にはない美意識で、”わび・さび”に通じているようです。作陶を通してこの一端に触れることが出来ればと考えております。 

2.作陶時期
    ・2012年11月〜2013年8月に作陶した作品です。

青磁象嵌花文茶器
(
韓国
・松波作・・明かり人蔵)








      *下へスクロールすると写真がご覧になれます








作品番号
名称
117.備前炭化酒器
製法 ・土:備前
・紐積み上げ手び練り法
・松灰部分吹きつけ
・炭化還元焼成
コメント ・備前の炭化窯変を狙った作品です
・焼成サヤ箱に炭、赤貝を入れ還元焼成
・炭化独特の味を表色、但し窯変制御は難しく、まさに偶然の産物に近い
作品番号
名称
118.紫香楽茶碗と徳利
製法 ・土:伊賀土
・紐積み上げ手び練り法
・ひいろ部分吹きつけ
・炭化還元焼成
コメント ・紫香楽・伊賀の特長である”ざんぐり”感を狙った作品
・薪穴窯焼成風の味を出すため炭化焼成
・表面が粗い”ざんぐり”感が出たが、実用器としてはやや抵抗感あり
作品番号
名称
119.各種青磁小鉢
製法 ・土:赤津貫入土
・紐積み上げ手び練り法
・釉薬:右・・マット青磁(青葆光)、中央・・青白磁、左・・従来青磁
・呉須点書き
・還元焼成
コメント ・新しい青磁釉薬の出来栄え確認のため制作
・釉薬飛びを改善(カオリン増量)した新青磁の質感、呉須下絵の表色を確認
作品番号
名称
120.河井寛次郎風偏壺
製法 ・土:信楽白土
・タタラ貼り合わせ手法
・釉薬:青磁釉薬
・口元と角部アメ釉薬塗布
・還元焼成
コメント ・民芸の達人河井寛次郎風の曲線のある偏壺を制作
・タタラで安定感のある壺ができる。しかし全体に堅く河井作品のような親しみやすい用の美が出せていない。
資料:
河井寛次郎の代表作

作品は優美な曲線をもちどっしりとした風格があるが、しかしおおらかで親しみやすさが感じられる。用の美を求めた河井らしい作品である。
作品番号
名称
121.青磁陰刻呉須モミジ葉文様皿
製法 ・土:信楽白土
・タタラ貼り合わせ手法、
・釉薬:青白磁釉薬
・下絵:もみじ葉を陰刻後呉須線描
・還元焼成
コメント ・高台付きたたら皿
・モミジ葉陰刻と新青磁釉薬の組み合わせで、新しい青磁の表色を狙った
作品番号
名称
122.青磁陰刻呉須モミジ葉文様皿(U)
製法 ・土:信楽白土
・タタラ成形手法、
・釉薬:青葆光(マット青磁)釉薬
・下絵:もみじ葉を陰刻後呉須線描
・還元焼成
コメント ・モミジ葉陰刻と新青磁釉薬の組み合わせで、新しい青磁の表色を狙った
・青みの薄い、光沢感のない落ち着いた表色を示す
作品番号
名称
123.濱田庄司風大皿
製法 ・土:赤土
・紐積み上げ手び練り法
・釉薬:黒天目釉ずぶ掛け+赤粉イッチン掛け+赤粉上銀彩
・酸化焼成
コメント ・東の民芸の達人濱田庄司風に大胆な釉薬重ね使いを使用、アクセントに銀彩点描を試みた。
・まだ力不足の感あり
作品番号
名称
124.銀彩中鉢
製法 ・土:伊賀土
・紐積み上げ手び練り法
・釉薬:黒マット釉ずぶ掛け+銀彩線引き
・酸化焼成
コメント ・銀溶液線引き焼成、焼成後表面研磨実施
・金彩と違い銀彩は落ち着きがあり、いろいろな器に使えそう
作品番号
名称
125.織部八角薄皿
製法 ・土:信楽白土
・紙繊維練り込みタタラ成形法、
・釉薬:織部と黄瀬戸釉薬掛け分け
・酸化焼成
コメント ・超薄皿のため土に紙繊維を練り込み作陶過程での土割れを防止
作品番号
名称
126.青磁コーヒーカップ
製法 ・土:信楽白土
・紐積み上げ手び練り法・
・釉薬:内部・・乳白釉、外部・・右カップ:青磁釉、左カップ:高麗青磁釉
重ね部・・撥水処理
・還元焼成
コメント ・制作者の日常使用カップを目的に制作
作品番号
名称
127.黄瀬戸スープカップ
製法 ・土:信楽白土
・紐積み上げ手び練り法・
・釉薬:内部・・乳白釉、外部・・黄瀬戸釉、
右カップ重ね部・・撥水処理
・酸化焼成
コメント ・制作者の日常使用器を目的に制作
作品番号
名称
128.薄手半磁器茶碗
製法 ・土:半磁器土(赤津貫入土)
・紐積み上げ手び練り法・
・釉薬:透明釉ずぶ掛け
・下絵:呉須山絵
・酸化焼成
コメント ・中国茶の茶器に使われる真っ白な器をイメージして制作
作品番号
名称
129.ビアマグ
製法 ・土:黒陶土
・玉造り手びI練り法・
・釉薬:外壁・・天目釉と乳白釉掛け分け
・還元焼成
コメント ・玉造リで製作した
作品番号
名称
130電動ろくろ茶碗
製法 ・土:赤土
・電動ろくろ使用手作り
・釉薬:内壁・・乳白釉外壁・・黄瀬戸釉
・酸化焼成
コメント ・電動ろくろを使用して成形、手法習得のための試作茶碗
・慣れれば均整度のよい器が短時間で作れる
作品番号
名称
131電動ろくろ中鉢
製法 ・土:赤土
・電動ろくろ使用し玉造り手法
・釉薬:天目釉
・還元焼成
コメント ・電動ろくろを使用して玉造り手法でやや大きい鉢を成形、手法習得のための試作鉢
・慣れれば大型の均整度のよい器も短時間で作れるようだ





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